住民感情を無視したポスター

 9月25日、17000平方の《鴬谷開発計画地》敷地周囲を廻らす、都市の新しい公害とも言える白色フエンスの刺激的な発色とともに、太陽の反射熱の応急防止措置を申し入ていたが、建設業者はとつぜん大きさ1メートル×1メートルのイメージ写真ポスター22点がフエンスに掲出された。これについて住民は渋谷区に指導を申し入れた。
 ポスターの内容は、ハチ公・モヤイ像・桜・鴬・猿・花しょうぶ・欅などの、この地域に関係する題材と、松尾芭蕉の俳句、島木赤彦の短歌と写真の組み合わせ、意味不明の名(迷)言と動物のイラストであり、ポスター間には渋谷区作成の「警告」パネル(36センチ×26センチ)【写真参照】が8枚掲示されている。 


      ★警  告★
          落書き禁止
落書きは「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」
により禁止されています。
  違反した場合には、処罰されます。
渋谷区/渋谷・原宿・代々木警察署

 これは、誰が見ても渋谷区が推進している「美化運動」の一環として、渋谷区が企画・制作したももののように誤認・類推させるものである。ポスターは業者が独自に制作したものであり、同時に掲出されたプラスチック製警告パネルは、渋谷は区が制作したものを希望者に渡しているが、どのような使われ方は確認していないという。
     
・この地域は都市計画法で第2種低層住宅地と決められた静穏の住宅地であります。
・今日まで住民は行政と協力して「きれいなままちづくり」に努力してまいりました。
・3月にフエンスが設置されましたが、以来今日まで落書きなどされたことはありません。
・自社所有地に如何ようなものを掲出するかは自由でありますが、公共の道路に面した壁 面に、誰が見ても渋谷区の企画・制作であると誤認させる展示物を、クレジットも明確 にしないまま掲示することは官名詐称の法律違法であります。
・名(迷)句は発言者名も不明で、徳目の押し付けは迷惑至極であります。
・「警告」パネルーは住民に威圧的不快感を与えるばかりか、住民を侮辱するものであ  ります。
・このポスター掲示の意図は、工事から発生する騒音・振動・交通事故など、住民の切実 な不安をそらし、隠蔽するものであります。
・樹林の伐採、環境や歴史的遺跡を破壊した企業が文化を語る資格はありません。
・近隣の同社の工事現場、他社の工事現場を調べましたが、このような事例は見当たりま せん。
・住民感情を無視したポスター掲示は、世間を欺く企業の反社会的行為と言わざるを得ま せん。これは直ちに撤去すべきであります。
・私たちは都市公害といえる白色フエンスの刺激的発色と反射光や反射熱の緩和策を求め めるものです。

 渋谷区は、このポスターの制作についての関与、「警告」パネルが業者に渡った経緯の解明とともに、速やかな撤去の指導をお願い申し上げます。
 そして、あわせて白色フエンスがもたらす都市の公害について、行政の適切なる対策をひとえにお願い申し上げます。

渋谷区への抗議の成果?

《鴬谷開発計画地》の白色フエンスについて渋谷区に抗議したところ、渋谷区公害課は曖昧な返答しかできなく、その後も業者の指導などした様子はない。
 しかし、最近旧小和田小学校跡地にの文化会館建設用地を取り囲む白色フエンスが、日本デザイン専門学校と大成建設の手によって、オレンジ・グリーン・ダークブルーの3色を使ったイラストが張り巡らされたのを気付いた。これは澁谷区の建築物として世間から非難されるのを怖れて、急いで制作したものに間違いない。
 もともと、ここには住友・西松が掲出した「★警告★」ステッカーは、さすがに渋谷区の事業であるだけに、自らは制作したものを掲出するのを躊躇していた。