最高裁判決の『たぬきの森』と『鴬谷計画』は同一

地球温暖化二酸化炭素問題は人類の生存に関わる緊急の問題であります。資源の枯渇や環境の悪化を招く乱開発、利益優先思想や社会的倫理観の喪失などと訣別した、人間性の回復とともに人類の共生や社会の進化を目指す時機が到来しております。 

副都心区・新宿での最高裁は不法の道を塞ぎ、環境保全の“大道”をひろげました

先頃の最高裁小法廷は、新宿区下落合の『たぬきの森』事件について、行政の上告を破棄して住民勝訴の決定が下されました。同じ副都心と呼ばれ隣接し合う新宿区と渋谷区は、商業地区の背後には自然や良好な住環境が広がっており、今回の開発計画が阻止されたことは隣接する住民同士にとっては最高の喜びでありました。
もともと『たぬきの森』訴訟は、行政がたぬきに象徴される自然環境保全や住民保護についての観点を欠き、開発地の道路事情と住民の意志を無視した法律の適正な運用の誤り、開発企業の利益を優先させることから起因したものでありました。これは単に“道”問題を超えた自然や環境保全を訴えた、住民の主張の正当性が認知されたものであります。
行政が当初から住民の訴えに耳を傾けようとしない当然の帰結でありました。

住民保護より複合違反で開発業者に便宜提供する渋谷区政
一方渋谷区は、崇高な理想を掲げた『渋谷区憲章』をもち、「文化と安らぎのまち」を標榜していますが、区長は時代の要請に逆行する箱物づくと開発計画にはきわめて熱心であります。『渋谷鴬谷遺跡』には、2万年の旧石器時代から、縄文・弥生時代の竪穴式住居の大古墳群が良好な状態で奇跡的に遺され、人類文化発展の跡を辿れる学術的・歴史的・文化的に貴重なものであり、鴬の鳴き声が聞かれる豊かな緑の環境でありました。しかし、渋谷区長が許可した『渋谷区鴬谷計画』は『たぬきの森』と同様な出入り口が1ヶ所だけの旗竿型袋地であるばかりか、さらに都市計画法建築基準法の複合違反をした開発行為であります。私たちが求めていることは、法律の厳格な適用による規模の縮小、自然や景観と環境の保護など公益のためであり、行政が私企業への不公平な加担を改めれば直ちに完了するのです。

『たぬきの森』の主も全面支援を約束
私たちは『たぬきの森』の住民勝利が伝えられると早速に現地を訪ねて、長い苦闘を乗り越えて最高裁判決を勝ち取った原告団の忍耐を讃えるとともに、その喜びを分かち合いました。
 そして、今後もたぬきの森の主人公を交えて、私たちを支援してくれることを約束してくれました。
 こうして、環境裁判は国立から鞆の浦へ、そして新宿下落合から渋谷鴬谷へとつづき、森とたぬきと鴬の啼くまちとの連帯は、地球環境保全の“大道”につながることになります。